SAKURA的イチオシ音楽鑑賞はここ。@モスクワ音楽院

母すみれです。

今回の私たち桜庭母娘、ロシア旅行の主なテーマは、本場のバレエ、オペラ、コンサートの鑑賞をすることでした。

そして、一流の劇場に行き(経済的に負担にならない値段のチケットではありますが)、一流のプロのバレエ、オーケストラの演奏をいくつも観ることができました。

モスクワでは、かのボリショイ劇場で、バレエ「ラ・シルフィード」を見ることもできました。

さすがに一流。世界中から人を集めるだけあって素晴らしいパフォーマンスを堪能することができました。

そして、帰国してからこの記事を書いていますが、思い返して一番強く印象に残っているものは、と考えると、われながら驚くことに、それらプロの公演よりも、実は、まだ無名の若者たちの演奏だったりするのです。

サンクトペテルブルクの教会のそばの運河のわきで毛糸の帽子とジーンズの普段着で練習していた弦楽カルテットだったり、地下鉄の車両の中で、周囲の乗客の視線を集めながら静かに演奏を始めたクラリネット奏者だったり。

表現することを躊躇しない若者の音楽シーンだったのです。

私と、娘のみずきも同じ意見だったのですが、イチオシはここでした…↓

チャイコフスキー記念モスクワ音楽院(コンセルヴァトーリア)

こちらの学校は、ロシアはもとより、世界中のクラシックの演奏家を目指す若者が集まる音楽学校です。

世界的コンクールの「チャイコフスキー国際コンクール」の会場でもあります。

創立以来150周年にわたって、スクリャービン、ラフマニノフ、リヒテルなどの世界的音楽家を多数輩出しています。

クレムリンから近かったので見学のついでに、何か演奏会やっていたら、学校だから安く観られるかも知れないから行ってみよう。くらいの気持ちで行きました。

カッサ(チケット売り場)は1階正面玄関奥にがある、と「地球の歩き方」には書かれていますが、私の記憶では、通りに面した場所にもあって、そこでチケットを求めました。

校内の3つのホールでやっているさまざまな演奏会のチケットを扱っています。

カッサの外に、近日中に行われるたくさんの演奏会の一覧表やポスターが貼られていて、娘みずきと二人で「今日これからの演奏会はないかしらん?」と目を皿のようにして探し始めてまもなく、見つけました!

な、なんと、あと一時間後からこの学校の学生オーケストラの定期演奏会があるではありませんか!!!何という幸運。これは聴きに行くしかありません。

チケットは、無名の学生のオーケストラの定期演奏会なので、実に控えめな250~300ルーブルほどでした。(日本円で約500円)

(ここのカッサの係員さんはロシア語オンリーだったので、少し困ったのですが、大困りする前に、「旅先の神様」が現れて通訳してくださって、無事購入することができました。その話は、別ページにてエッセイに書きたいと思います。)

購入したチケットを握りしめ、会場の大ホールへ。

ホール2階の壁には、この音楽院を巣立った名だたる作曲家、名演奏家たちの肖像画がずらっと並んでおり、後輩たちの演奏を見守っています。

開演30分前だからか、お客は数えるほどしかいなくて、私たちは自分たちのチケットのエリアである、上手(かみて)側最前列の、チェロパートの前に陣取りました。

(ヘタの横好きではありますが、私自身、市民オーケストラでチェロを弾いているので)

世界中から若い才能が集まるこの音楽院の、このオーケストラに入るのには、多分オーディションか、指名制の選抜があって、メンバーが組まれているのでしょう。

野球で言えば、一軍の選手たちの位置づけの、将来を嘱望されるエリート音大生たち。

ロシア人らしい大理石のような肌の者もいれば、アフリカ系、アジア系の学生も見えます。

かぶりつきですから、目の前のチェリストの音が直に耳に入ってきます。

美しい。

ある時はやさしく、ささやくように。ある時は激しく、躍動的に。こんなに自由に楽器を鳴らすことができたらどんなに素敵だろう。

メインのプログラムは、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。

ソリストは、二十歳前後に見える青年でした。

あの若さからいって、やはり学生なのでしょうか。

その情感あふれる演奏は素晴らしいものでした。

終わってから周りを見回してみると、観客には観光客とおぼしき人は、私たちの他にはいなかったようです。演奏の最後まで、客席は満席にはならず、1700人入る大ホールが半分ほどしか埋まらなかったけれど、たったの500円で、なんと充実した贅沢な演奏会を聴かせていただいたことでしょう。

娘みずき曰く、「うわぁ~っ!この演奏会は、予想の斜め上だったね…プロのもいいけど、この学生オケ、特にあのヴァイオリンのソリストは凄すぎたね。このホールで聴けたのも良かったし、本当にラッキーだったね。」

もうそれ以上何も言えなくて、頭をぶんぶん縦に振っていた私でした。

プログラムの名前もロシア語で読めなかったけれど、彼は将来絶対に世に出るヴァイオリニストになることでしょう。

私たちは、たまたま学生オーケストラの定期演奏会の日に当たって、とても運が良かったのですが、こちらの音楽院では毎日のように、3つのホールでいろいろな演奏会がひらかれるようですので、皆さんも興味がありましたら、のぞいてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、サンクトペテルブルクにも、ロシアで一番早く設立された「サンクトペテルブルク音楽院」があります。(モスクワ音楽院は2番目)

そちらも立ち寄ってみれば良かったな…。

チェロ弾きの神様、ロストロポーヴィチに出会いました。

宿への帰り道、まだ音楽院に近い静かな道で、チェロを弾く銅像に会いました。

ロシアに来て1週間近く経ち、だいぶロシア語の読みも分かってきたので、それがチェロ弾きの神様、2007年に80歳で亡くなった、ムスティラフ・ロストロポーヴィチの銅像であることが分かりました。

アマチュアではありますがチェロ弾きの端くれである私は、飛び上がって思わぬサプライズを感謝し、巨匠と記念撮影をさせていただきました。

見苦しくて申し訳ありませんm(__)m

ロストロポーヴィチもモスクワ音楽院の大先輩です。

若くして天才の名を欲しいままにする一方、ベルリンの破壊された壁の前でチェロを弾き、ソビエト当局に目をつけられたソルジェニーツィンをかくまい、ついにソビエト国籍を剥奪される、という時代のシンボルとなった彼。

新生ロシアに復帰した後は、演奏をし、指揮し、教え、フェスティバルを創始し、病気の子供たちのための財団を組織しました。その卓越した音楽の才能とともにその人格により、万人に愛された方でした。

最後に思わぬ人に会えた、私にとっては、何もかもが幸せなひとときでした。

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